ネッコチップ工法とは

ネッコチップ工法の概要

表土を含む現地発生土と伐採木を破砕した生のチップ材をリサイクルすることにより、 在来植生の復元、生態系の保全を可能にした緑化工法です。

ネッコチップ工法は、伐採木(枝葉・幹・根株など)を破砕した針状の生のチップ材(未堆肥)と表土を含む現地発生土を混合し、生育基盤材の主要材料として使用します。 表土に含まれる種子や根茎からの発芽・生育により在来植生を再生し、生態系の保全と多様化を可能にする自然回復緑化技術です。

ネッコチップ工法は、生育基盤材の主要材料である表土とチップ材を緑化する現場で調達することが原則です。 このうちチップ材については現地で伐採木を針状に破砕(幅1cm、長さ5cm~15cm程度)したものを、堆肥化などの処理をせずに生のままリサイクルします。 生のチップ材は、造成した生育基盤の補強や土壌改良材として機能します。また、表土を含む現地発生土は無機質の材料であり、 分解消失することなく安定した生育基盤を長期間維持することができるため、生育した在来植生が衰退することはありません。

工法の概要


ネッコチップ工法の特長

  1. 現地発生表土の利用による在来植生の復元・植生の多様化・生態系の保全が可能です。
  2. 無機質を主体とした土壌(現地発生土)を主要材料として用いるため、長期的に安定した生育基盤の造成ができます。植生も衰退することがありません。
  3. 建設副産物の発生量の抑制とリサイクルによるコスト低減ができます。
  4. 一次破砕の大きな生のチップ材を生育基盤材料として利用できます。また、従来まで使用が困難であった表土や表土に含まれる根茎、粘土分を多く含んだ土なども有効に利用できます。
  5. 専用プラント・高速ベルトコンベアを用いた機械化システムにより効率的で経済的な施工ができます。
  6. 主要材料である現地発生の表土は掘削土・真土などと混合して使用できます。バックホウなどを使用することにより、表土を含む現地発生土を経済的に採取できます。

生物多様性に配慮したネッコチップ工法

生物多様性基本法(2008年6月)や外来生物法(2005年6月)の施行に象徴されるように、希少種の保護や生物多様性保全という観点から、 建設工事において発生する法面や荒廃地の緑化についても、在来種を主体とした緑化を図ることが求められています。

外来生物法は特定外来生物による生態系、農林水産業への被害など防止し、生物の多様性の確保、 農林水産業の健全な発展に寄与することを目的として制定されました。この外来生物法の要注意外来生物リストには、 これまで緑化の主要植物とされてきた、草本類、木本類が含まれています。また、生物多様性基本法では、在来種による緑化を推進するという方針が示されています。こういった緑化に係わる情勢にあって、 日本の地域自然環境や生態系保全には、これまでの外来芝草や性質の強健な緑化植物にかわり、地域在来の植物を活用した緑化の促進が不可欠です。


ネッコチップ工法は生態系に配慮した種々の緑化手法に対応可能

  1. 表土を利用する手法(埋土種子、根茎の利用)
    表土に含まれる埋土種子の発芽・生育により、他の場所から植物を持ち込まない緑化が可能であり、在来種を復元することができます。
  2. 種子を用いない手法
    従来工法に比べ土(無機物)が大部分を占めるため、有機物の分解・消失が少なく、長期耐久性に優れ、進入植物の定着を長期にわたり待ち受けることができます。
  3. 在来種を用いる手法(種子の採播き、山取苗木の植栽)
    伐採木をリサイクル活用したチップ材と土の混合物を保水性・通気性を有する団粒構造にした生育基盤を造成するため、有機質から構成される従来の材料(自然に比べ過大な栄養・吸排水性)に比べ在来種に適した土壌環境を提供できます。

ネッコチップ工法は生態系に配慮した工法として施工の実現性が高い

  1. 表土採取が容易
    生育基盤材料の50%に表土を含む掘削土を用いるため、50㎝~1m程度の深さで重機掘削した土が使用でき、狭い範囲で生育基盤材料となる表土を採取することが可能です。 他工法のように、広範囲から表層5㎝程度の表土のみを収集するなどの困難な作業を行う必要はありません。切土時に生じた有機物を含む廃棄表層土砂も流用できるため、 表土採取のコストが安価となります。作業性や現実性にも優れており、廃棄物の有効利用にもなります。
  2. 経済性の向上
    現地にある土や伐採木のチップ材が主要材料となるため、材料コストが圧縮され、従来工法である植生基材吹付工法と同等程度のコストで施工が可能です。
  3. 表土の量に限りがある場合でも、生物多様性に配慮した施工を達成できる汎用性を有しています。
  4. 土が主体の生育基盤の利点から生じる優れた長期耐久性を活かし、表土以外の掘削土を使用し待ち受け型に切り替えるなど柔軟な対応が可能です。

技術評価

平成16年度 先端建設技術・技術審査証明取得 ((財)先端建設技術センター)
平成16年度 建設技術展2004近畿「注目技術賞」受賞
平成14年度 「グリーン購入法特定調達品目」に追加登録
平成13年度 3R(Reduce Reuse Recycle)功労者表彰
国土交通大臣賞受賞
平成11年度 日経BP技術賞 建設部門(日経BP社)
「建設技術展 2001近畿」技術発表優秀賞
平成11年度 建設新技術フェア関東'99 入賞(建設新技術フェア'99関東実行委員会)
平成11年度 防災・救命テクノコンペ 技術奨励賞((社)近畿建設協会)
平成11年度 準会長賞((社)日本建設機械化協会)
平成11年3月 先端建設技術・技術審査証明取得 ((財)先端建設技術センター)